”介護殺人”加害者7割超が心身不調も相談は3人に1人 NHK分析

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”介護殺人”加害者7割超が心身不調も相談は3人に1人 NHK分析

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6月18日

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介護かいご疲れなどから家族かぞくづれの命を奪う、いわゆる「介護かいご殺人さつがい」について、過去5年間に全国で起きたおよそ50の事件じけんをNHKが分析ぶんせきしたところ、介護かいごや介助をしていた加害者の7割以上が心身に不調を抱えていたことが分かりました。さらに、事件じけんを起こす前、家族かぞくづれ介護かいご関係者に相談をしていたケースは、3人に1人にとどまっていて、専門家は「介護かいごする側への支援しえんの拡充が必要だ」と指摘しています。

NHKは、介護かいご疲れなどが原因げんいん殺人さつがいや傷害致死などの事件じけんに至る、いわゆる「介護かいご殺人さつがい」について、去年11月までの5年間に全国で起きたおよそ140の事件じけんのうち、裁判さいばん判決はんけつ文などから詳しいいきさつが確認かくにんできる46件を分析ぶんせきしました。

その結果けっか、加害者が、▽男性で夫や息子、孫だったケースが31件(67.4%)、▽女性じょせいで妻や娘だったケースが15件(32.6%)でした。

また、加害者が介護かいごや生活の介助をする中で、体を痛めたり、自身に病気が発覚したりするなど、介護かいごをしていた当事者自身が心身に不調をきたしていたケースは33件と、全体の7割を超えました。(71.7%)

さらに、昼夜を問わない介護かいごで、不眠が続くなどして、適応障害やうつ病などの精神疾患の診断を受けていた人も、およそ4割(39.1%)に上りました。

また、訪問介護かいごなどの介護かいごサービスを利用していたケースは、確認かくにんできただけで半数余り(54.3%)にとどまり、介護かいごを受ける本人が利用することを拒否したり、一部を嫌がっていたケースもありました。

そして、事件じけんを起こす前に、加害者が家族かぞくづれ介護かいご関係者などに何らかの相談をしていたケースは、3人に1人(30.4%)にとどまり、周囲に悩みを打ち明けられなかった人が少なくないことが分かりました。

こうしたケースでは、判決はんけつ文の中で、加害者が「介護かいごを他人に任せることはできない」とか「子どもたちには迷惑をかけられない」などと、ひとりで抱え込み孤立していた状況を指摘する文言も多くあり、介護かいごの負担や将来への不安で加害者自身も体調を崩す中で追い詰められ犯行に至った実態が浮き彫りになりました。

専門家「介護かいごする側を支える制度 作っていくことが必要」

家族かぞくづれ介護かいごの問題に詳しい立命館大学の斎藤真緒教授は、NHKが調べた、いわゆる「介護かいご殺人さつがい」の事件じけん46件のうち、加害者の7割以上が心身に不調を抱えていたことについて、「介護かいごは“先の見えないトンネル”と表現されることもあるが、昼夜を問わずの介護かいごが続くなどして、介護かいごをする側が健康に問題を抱えたり精神的に不安定になったりしやすい状況がある」と話します。

そして「1人の家族かぞくづれ介護かいごの負担を抱え込んで責任感をもって介護かいごするケースも少なくなく、こうした場合、自身の心身の不調から今までのような介護かいごが続けられないという状況が生まれた時に、将来が見通せず、大きな絶望を感じてしまうことが、介護かいご殺人さつがいの動機の1つとなっている」と指摘します。

そのうえで、2000年から始まった介護かいご保険制度は、基本的に介護かいごされる側のニーズに合わせて組み立てられていて、介護かいごする側の状況は十分くみ取れていないケースがあるうえ、夜間や緊急時に使いたい場合に使えるサービスが少ないと、課題を指摘します。

斎藤教授は「介護かいご殺人さつがいに至るケースは氷山の一角で、ギリギリの手前のところで悲鳴をあげている家庭は多くあると思う。現状のような週に数回のデイサービスなどの支援しえんでは、24時間365日続く家族かぞくづれの負担を十分に軽減できているわけではない。介護かいごする側の生活や健康状態に応じた支援しえんを充実させ、介護かいご家族かぞくづれだけで抱え込ませないようにすることが必要だ」としています。

また、「社会としても家族かぞくづれ介護かいごを美化しすぎず、いい介護かいごやケアを続けていくためにも、介護かいごする側を支える仕組みを制度として作っていくことが必要だ」と指摘しています。