「完全養殖」ウナギのかば焼き 初めて一般向け販売へ

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「完全養殖」ウナギのかば焼き 初めて一般向け販売へ

发布时间

5月19日

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絶滅のおそれが指摘される二ホンウナギについて、国の研究機関が開発した技術を使って大分県の水産会社が卵から育てたいわゆる「完全養殖」のウナギが初めて一般向けに販売されることになりました。

農林水産省は19日、大分県の水産会社が完全養殖で育てたウナギを一般に向けて試験的に販売することになったと発表しました。

国内で流通するウナギのほとんどは河川などで捕獲された天然の稚魚「シラスウナギ」を育てて養殖したものですが、近年稚魚の漁獲量は減少傾向で、価格が高騰していることや天然資源の保護の観点から水産庁などは卵から育てたウナギを親にしてさらにその卵をふ化させる完全養殖の技術開発を進めています。

この会社は4年前から国の研究機関「水産研究教育機構」の技術指導を受けて完全養殖に取り組んでいて、今回、初めて完全養殖のウナギを使ったかば焼きを今月29日から数量限定で大手スーパーの通販サイトなどで販売するということです。

ウナギの完全養殖は、現在はコストが高いのが課題ですが、水産研究教育機構によりますと新しいタイプの水槽を使うなどしてシラスウナギ1匹あたりのコストを天然のものと比べて3倍から4倍程度まで抑えられるようになってきたということです。

販売される予定のウナギを試食した鈴木農林水産大臣は、「気候変動を含め、資源の持続可能性が今後ますます重要になっていくなかで、ウナギの完全養殖が、国内外の多くの消費者に届けられるように政府としても後押ししたい」と述べました。

完全養殖ウナギ販売の会社

大分県に本社があるこの水産会社は、年間およそ450万匹のウナギを鹿児島県内の養殖場で生産しています。国の水産研究教育機構の技術指導を受け、2022年から完全養殖に取り組んできました。

会社ではニホンウナギの卵をふ化させて稚魚となる手前の「レプトセファルス」と呼ばれる段階へと育成したのち、稚魚である「シラスウナギ」に成長するまで200日から250日ほどかけて育てています。

志布志湾に面した完全養殖のための施設には、円筒を縦に半分に切ったいわゆる「ハーフパイプ」の形をした、幅40センチ、長さ1.5メートルの水槽が並んでいます。

清潔な環境を保つために毎日新しい海水をくみ上げ、水槽の水を交換しながらレプトセファルスを飼育しています。

養殖会社によりますと、レプトセファルスは光を嫌がる習性があるため、ふだんは室内を真っ暗にしていて、1日に5回、エサを与える時だけ照明をつけているということです。

エサは試行錯誤を重ねた末、ニワトリの卵の黄身にビタミンなどの栄養を加えてペースト状にしたものを与えていています。

その後、シラスウナギに成長すると、成魚まで育てる別の養殖場に運ばれ、出荷するのに適した200グラムから300グラムのサイズにまで飼育されるということです。

完全養殖を始めた当初は、シラスウナギになる前に多くが死んでしまいましたが、その後、生育に適した環境がわかり、養殖技術が進歩したことでいまでは年間およそ1万匹のシラスウナギを安定して育てられるようになったということです。

従来の養殖ウナギと比べるとまだ高価なものの、将来の持続的なウナギの生産を見据えて今回、試験販売に踏み切ったということです。

試験販売されるのは完全養殖のウナギで作った冷凍のかば焼きで、今月末から数量限定でインターネットなどを通じて1尾あたり5000円程度で販売されるということです。

水産会社の加藤尚武取締役は、「天然のシラスウナギだけではなく完全養殖のシラスウナギも利用できるようになったのは、食文化の継続という点でとても大事なことだと思っています。これまでの養殖ウナギとまったく変わらないおいしさを感じてほしいです。設備やエサなどにまだ改良の余地はあるので、完全養殖のウナギを増産できるようにしていきたいです」と話していました。

漁獲量 ピーク時の60分の1以下に減少

水産庁によりますと、国内の川や湖でとれる天然のニホンウナギの漁獲量は、1961年の3387トンをピークに、2024年は52トンと60分の1以下に減少しています。

これに対し、養殖のウナギの生産量は16159トン、輸入が44730トンとなっていて、現在流通するウナギのほとんどは養殖されたものです。

また、ニホンウナギの稚魚の「シラスウナギ」の国内の漁獲量は、2010年ごろまで20トンを上回る年もあり1キロあたり100万円以下で取引されることもありましたがその後は価格の変動が激しく、2018年には300万円近くになったこともありました。

2025年の漁獲量は15.3トンと比較的多く、1キロあたり130万円となっていますが、以前と比べ取引価格は高くなる傾向にあります。

半世紀以上にわたる研究で実用化

完全養殖ウナギの実用化に向けた研究には半世紀以上にわたる歴史があります。

国内でウナギの完全養殖に向けた研究が始まったのは1960年代。

1973年に北海道大学の研究チームが、世界で初めてニホンウナギの卵を人工ふ化させることに成功しました。

しかし、卵がふ化し、「レプトセファルス」という形態を経て稚魚の「シラスウナギ」になるまでは日本から遠く離れた太平洋で育つため、どんな環境で、どんなエサを食べているかなど生態を詳細に観察することが困難で、長らく、シラスウナギまで成長させることはできませんでした。

その後、2002年に当時の水産総合研究センターがサメの1種の卵をエサにしてシラスウナギまで成長させることに成功。

さらに2010年には、卵から育てたウナギを親にして、さらにその卵をふ化させる完全養殖に世界で初めて成功しました。

ただ、当初は育てるためのコストが非常に高額で、2016年度の段階では、シラスウナギ1匹あたりおよそ4万円と試算されていました。

その後の研究でふ化してからのエサをニワトリの卵に置き変えたり、水槽の形を工夫してシラスウナギまで育つ割合を高めたりしたことで、いまではシラスウナギまで育てるのにかかるコストは1匹あたり1800円ほどにまで下がったということです。

現在はウナギの養殖を行う会社や水槽を開発するメーカーなど10社あまりの協力体制で年間4万匹から5万匹のシラスウナギの生産が可能となっていて、今後、天然のシラスウナギにより近い、1匹あたり800円までコストをさげることを目指しています。

完全養殖の実用化に取り組む会社などをとりまとめる「マリノフォーラム21」廣野淳会長は、「今回の販売研究者や企業の長年の努力の結晶が実現したものと受け止めている。さらに技術を広めて、コスト削減に取り組むことで完全養殖のウナギをより多くの人に食べてもらえるようにしたい」と話しています。