“生え際をチェックしてるだけ” 「フランス流」の偽情報対策

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“生え際をチェックしてるだけ” 「フランス流」の偽情報対策

发布时间

5月25日

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インターネット上にあふれるフェイクニュースや真偽不明の情報じょうほう

どう対応すべきか各国政府せいふが問われる中、フランス外務省が展開する“あるSNS発信”の取り組みが関心を集めている。

旧ツイッターのXでの開始かいしから半年あまりでフォロワーは20万人を超え、5月にはTikTokのアカウントを開設、偽情報じょうほうに対抗する人材のリクルートも始まった。

SNS時代の情報じょうほう戦に挑む、「フランス流」の新たな“外交がいこう”のかたちとは。

(ヨーロッパ総局記者 向井麻里)

”生え際をチェックしているだけ”

フランスのマクロン大統領やイギリスのスターマー首相しゅしょうが額に手をあてている写真しゃしん

SNSの投稿には、「ヨーロッパの首脳がトランプ大統領から『グリーンランドをアメリカに売らないならNATOから撤退する』と伝えられ、パニックになっている」とコメントされていた。

これに対し、「パニックになっているのではない。生え際をチェックしているだけだ」と自虐やユーモアを交えて否定したのが、フランス外務省が公式アカウントとは別に設けたSNSのアカウント、「フレンチ・レスポンス」(フランスの反応)だった。

特徴は、公式アカウントにはないスピード感。

フランス外務省の報道ほうどう官は、いわゆる外交がいこう的な反応も必要だが、偽情報じょうほうなどがネット上でどんどん拡散するなか、それでは不十分だと説明せつめいする。

フランス外務省 パスカル・コンファブル報道ほうどう官 「偽情報じょうほうには素早く反応しなければならないときもある。そのためには公式アカウントでは役に立たない。情報じょうほう戦に勝つためには戦う必要があり、そのための手段だ。誰かをターゲットに攻撃しているわけではない。ただ反応するだけだ」

きっかけは去年、XをはじめとするSNS上で、フランスへの攻撃的な投稿が急増したことだった。

当時、フランスがパレスチナを国家として承認しょうにんするかどうかが大きな焦点になっていた。

「次々と繰り出される攻撃的な投稿に対し、対応できていない」

外務省内ではそう分析ぶんせきしたという。

アカウントは6人程度の少人数で運営。

情報じょうほうなどを拡散させる投稿に対し、プレスリリースなどでこたえても意味がないとして、特には痛烈な皮肉やウィットなどを効かせながら、反応する。

こうした反応を積み上げることで、フランスにとっての「レッドライン」、超えてはならない一線はどこにあるかを示し、それを超えた場合には黙ってはいないと広く知らせるねらいがあるという。

国外のSNS利用者にフランスの主張を伝えるため、フランス語ではなく、主に英語で発信している。

フォロワーはヨーロッパ諸国だけでなく、アメリカやカナダ、アフリカなど広範囲にわたっていて、外務省も手応えを感じているという。

イーロン・マスク氏に対し…

「フレンチ・レスポンス」が大きく注目されたのはことし1月。

Xを率いるイーロン・マスク氏への反応だった。

マスク氏が、イギリス政府せいふによるSNSへの規制をめぐって「イギリス政府せいふはなぜそんなにファシストなのか」と投稿。

これに対し、マスク氏が右手を斜め上に伸ばしている写真しゃしんを投稿し、マスク氏がかつてナチス式の敬礼をしたとして批判されたことがあることを示唆した。

投稿は800万回以上閲覧された。これを機にフォロワーが急増し、今では20万を超えた。

情報じょうほう空間や偽情報じょうほうに詳しいフランス国際関係研究所のジュリアン・ノセティ氏は、SNSの時代ならではのユニークなやり方だと指摘している。

フランス国際関係研究所 ジュリアン・ノセティ氏 「外交がいこうの世界では、伝統的に決まり切った答え方というのがある。それらは多くの場合、過度で無礼なことばやユーモアを省いていて、極めて練られた面白みのないものだ。単語や文章、画像を巧みに使っているのは非常に興味深い」

アカウントでは絵文字や写真しゃしん、ネット上での拡散をねらった「ミーム」などを巧みに使っている。

フランス外務省の関係者はSNS上の不確かな情報じょうほうに対し、人々に注目される形で返信する必要があると主張するが、ひとつ間違えれば炎上にもつながりかねない。

このため、広報やコミュニケーション関係の専門家などが慎重に投稿内容を精査。

単に思いついたままを発信するわけではなく、内部の承認しょうにんプロセスを経た上で投稿しているという。

各国政府せいふに対しても

「フレンチ・レスポンス」は各国政府せいふや閣僚、関係者が公式アカウントなどで発信する投稿にも反論している。

ロシアのラブロフ外相が「われわれは国際法のない世界に戻りつつある」と発言する映像には、「自分でルールを破っておいて、文句を言うのか」

こちらは、アメリカ・ホワイトハウスの公式アカウント。

グリーンランドを象徴している犬ぞりが、アメリカか中国・ロシア、どちらを目指すのか決断を迫られているイラストの投稿には、EU=ヨーロッパ連合の旗の絵文字だけで反応した。

さらに、ロシアに移住して働くことを望む外国人向けにサービスを立ち上げたことを知らせるロシア外務省の投稿には、「独裁政権への愛着」や「ルールに基づく秩序へのある種の嫌悪感」など必要とされる要件があると指摘し、プーチン政権を皮肉った。

必要なのは抑止力

フランス外務省の関係者は、ネット上にあふれているのは偽情報じょうほうだけでなく、ロシアなど国外からのいわゆる介入や干渉だと指摘する。

「フレンチ・レスポンス」の役割は、そうした介入などへの防御でもある。

コンファブル報道ほうどう官 「不確かな情報じょうほうはいろいろな所から来る。このアカウントはフランスとヨーロッパを守るためにあり、われわれを攻撃する情報じょうほう操作の波が押し寄せてくるときに役に立つ。目標は、ある種の抑止力を作ることだ」

情報じょうほうに立ち向かう「予備役」も

5月、バロ外相は「フレンチ・レスポンス」を拡大し、TikTokにもアカウントを開設することを発表した。

Xと同様、フランスやヨーロッパの価値観への激しい攻撃が続くデジタル空間で、対抗する必要があるとしている。

さらに、ロシアや中国、アメリカやイランなど世界のさまざまな地域から次々と流れ込む真偽の不確かな情報じょうほうや介入などに対抗するには政府せいふの力だけでは十分ではないとして、デジタル分野に強い「予備役」のリクルート活動も始めている。

5月に行われたリクルートイベントでは、応募してきた候補者たちが、各国に駐在するフランスの外交がいこう官などとオンラインでの面接を受け、みずからをアピールしていた。

候補者たちは、文化イベントなどの広報として働く若者や、孫から「オタクのおじいちゃん」と呼ばれているという70代の高齢者まで、年齢や職業をはじめ、それぞれが多様な背景をもっている。

共通していたのは「世の中にはびこる偽情報じょうほうに対して、自分ができることをしたい」という強い思いだった。

社会に拡散するさまざまな情報じょうほう、そしてそれを利用した各国の政治や社会への介入、攻撃などにどう対応していくのか。

SNSの種類が数多くあるなか、効果は限定的だとする見方もある。フランス外務省の模索が続いている。

ヨーロッパ総局記者 向井 麻里 1998年入局 国際部 シドニー ロンドン駐在を経て現所属

分析

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ぶんせき

bunseki

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